スティペ・ミオシッチ:消防士としてトイレ掃除もするUFC王者

Stipe Miocic is the UFC champion who also cleans toilets as a firefighter

By: Martin Rogers | July 5, 2017 10:00 pm

クリーブランド –

スティペ・ミオシッチがUFCヘビー級王者になった報酬は、モップと吸引具で床掃除とトイレの詰まりを直すことだったようだ。

その4日前、2016年5月、彼はブラジル開催のUFC 198で当時の王者ファブリシオ・ヴェウドゥムを強烈な右のパンチで失神に追い込み大きな目標を達成している。

そして、消防士の仕事に戻る。

次の雑用はバレービュー消防署の共用冷蔵庫の掃除。UFCヘビー級王者が1年前のナチョチーズを処理するという奇妙な光景だ。

ミオシッチは冷蔵庫の奥に手を入れ、別の腐った食材を掴みながら笑ってこう言う。

「あいつらは酷い奴らだ。」

そして、14ヶ月後。ミオシッチは王者のままで、消防士も続けている。2度の1ラウンドKO勝利を収め、120万ドルを稼いでいるにもかかわらず。

大金を稼ぎ、UFCの人気スターになっても、消防士の仕事を辞めることは一度も考えたことがないという。

ミオシッチはUSA TODAYに語った。

「一度もないよ。辞める理由がない。人助けが好きだし、ファイターとしてのキャリがどうなるか分からないし。仕事が大好きで、忙しいのが好きなんだ。時間がありすぎると気が狂ってしまうよ。」

「消防署は、男たちの遊び場みたいな場所だ。一緒にトレーニングもするし、ワークアウトもする。頼りになる人間に囲まれているって感じる。」

ミオシッチ(34)は時給平均14ドルの消防署で10年近く働いている。彼の上司はミオシッチのUFCでのキャリアも理解し、柔軟な対応をしているが、ミオシッチは通常の業務をこなすことに誇りをもっている。パートタイム勤務だが、1週間に2回のシフトがあり、60時間連続労働の経験もある。

UFC 203のアリスター・オーフレイム戦とUFC 211のジュニオール・ドス・サントス戦の約1週間前も、ミオシッチはバリービュー消防署での仕事をしていた。

バリービュー消防署長ケニース・パペッシュはこう言う。

「時々『おい何やってるんだ』って言うんだ。試合のために飛行機移動する直前にここにいることがあるから。ちょっと信じられないね。どこか他の場所でリラックスしたり、彼をノックダウンしようとしている大男を相手にする準備をしたりするものだろ。そうしないでここに来て、彼のことで冗談を言ったりからかうような連中と一緒にいるんだ。」

パートタイム従業員として、ミオシッチは常に上司から雑用の指示を受ける。パペッシュ曰く、「彼は文句を言わない。まあ、言えないけどね。仕事だから。」

もちろん、ミオシッチのより重要な仕事は人命救助や救命処置などだ。

ミオシッチの妻ライアン曰く、彼は自身を「普通のまま」にしてくれる消防士の仕事が好きだという。普通の生活を送ることがミオシッチにとっては大事なようだ。

彼はトラックを運転し家の仕事もする。コーチ達が一緒に移動できるよう、自身のファーストクラスのチケットをダウングレードするようUFCに頼んだこともある。彼は質素な生活をし、物事を考えすぎるようなことはない。

「俺たちは他の人間とは違う。タフで鼻っ柱の強いブルーカラーだ。日々の単調な仕事をこなして、どんなに大変でもお互いにサポートしあう。インディアンズが0対162で負けても、ブラウンズが二度と勝てなくても、キャバリアーズが負けても、見続けてサポートを続ける。」

彼のファイトスタイルは爆発力があり、オクタゴン最恐と言われる。UFCのヘビー級は先が読みづらく、ミオシッチが次の試合で勝利すると、3連続防衛で最多記録となる。もっとも移り変わりの激しい階級だ。

デメトリアス・ジョンソンはフライ級で10連勝している。それでも、何が起こるか分からない試合展開とパワーに溢れるヘビー級に目がいってしまう。

今週末に開催されるUFC 213のヴェウドゥムvs.オーフレイムの結果でミオシッチの今後が変わってくる。この試合の勝者がタイトル戦を手にするだろう。

UFC代表ダナ・ホワイトはこう語る。

「スティペはすごい男だ。素晴らしいアスリートで、殴り合って1ラウンドKO勝ちをする。好きになる要素が沢山あるよ。」

しかし、UFCはミオシッチをどう扱うべきか分からずにいるようにも思える。UFCは口やかましく、時に不快なトラッシュトークをする人間のプロモーションには長けている。そういった選手を扱ってきた経験が豊富だからだ。

ミオシッチは、冗談を言ったり消防署の仲間と共に過ごすことを好み、トレーニングキャンプを離れれば、噛みタバコを噛んでビールも飲む。荒削りだが、今まさにUFCが必要としている男かもしれない。

彼はスターの役割に少しずつ慣れてきている。今年中に試合をすることになりそうだが、相手は未定。ミオシッチは負傷中のケイン・ヴェラスケス以外、トップランクのファイターは全て倒している。

「最初は有名になって注目が集まるのが恥ずかしかった。たまたまこの才能があっただけで、自分が他の人間よりも優れているとは思えないんだ。トラッシュトークとかそういうのは、すごく疲れてしまう。シンプルに生きたいね。消防署で働いて、ファイターとして働いて、対戦相手の顔を殴って、そして自分の日常を生きる。」

 

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