俺のような人生は誰にも歩んでほしくない。俺が経験したことは誰にも味わってほしくないからね。
俺は全を望んでいた。歴史上で最も偉大なファイターになろうとしていた。カス・ダマトが俺にそう思わせた。そういう言葉は彼から教わったものだ。
(出所後に復帰を果たしたが)俺にはまだ迷いがあったし昔のままだった。全てが上手くいかなくて、金も使い果たした。アル中になってドラッグにも手を出した。アルコール依存症とセックス依存症の治療プログラムを受けている時に気付いたことがある。それは、ゼロからのスタートになってしまったけど俺には経験があるということだ。経済状況も生活環境もチャンピオンだった頃から大きく変わった。
俺は逃げていた。恥とか自己嫌悪とかそういったもののせいだろう。早く死にたいとか自殺したいとか、バカなことを考えていた。それでも俺の中にはまだ何かがあった。様々な感情が残っていたから、何かをやりたいと思ったんだ。自分のなかのエゴともいえる。「俺はまだやれる。これをしたい、あれをしたい」って。それで、ブロードウェイの舞台に立ったり、映画に出たりして成功を収めることが出来た。でも、どれも戦いとは違った。どれだけ稼げるかなんてどうでもいい。ハリウッド映画にでるよりも、タダでも戦うことを選ぶ。それぐらい違うんだ。
(ジェームス・ダグラスに負けた後の周りのサポートは)まだ金があったからだ。金がなくなったら皆いなくなったよ。そういうものだ。
敵に傷つけられることはない。傷つけるのは友人だけだよ。これは辛いことだ。色々な事が起きるけど、それは終わりの日に向けた準備になっている。死ぬ時に、本当にやりきったと思いたい。そう思えてから死にたいね。自分が死を恐れているかどうかは、自分でも分からない。ただ、生にしがみつくつもりはない。俺たちはみな死ぬけど、その時が来るまでに色々な事をやらないといけない。
