USADA点滴ルール

http://www.mmamania.com/2016/5/24/11752730/ufc-199-usada-explanatory-letter-explaining-recent-iv-ban-bj-penn-mma

USADA(The United States Anti-Doping Agency:米国アンチ・ドーピング機構)の点滴禁止についての説明

点滴禁止ルールとは?

入院中、外科手術中、臨床試験中の合法的な使用を除いて、6時間に 50mL(大さじ3.4杯)を超えるいかなる点滴および/または注射は、いかなる時も、競技会中か競技会外にかかわらず、治療目的使用に係る除外措置 (TUE: Therapeutic Use Exemption)の許可なしでは禁止されています。

禁止物質の点滴または注射については、投与される量が6時間に50mL以下の場合でも、その物質のTUEが必要です。

禁止リストに入っていない物質で、6時間に50mL以下場合は、点滴または注射が許可されます。

なぜ点滴のルールを設けるか?

ク リーンなスポーツと選手の健康と安全を守るためです。点滴が以下の目的で使用できることも事実です:血液検査の結果を変える(ホルモンや血液ドーピングが 使用された血中赤血球容積など)。尿検査の結果をごまかす(薄めることで)。アンチ・ドーピング検査を切り抜けるために、血液からより早く取り除ける方法 で禁止物質を投与。

点滴の健康上のリスクは?

潜在的リスクと点滴療法による合併症には以下のものが含まれます:感染症、蜂巣炎、血栓症を伴う静脈壁の炎症、出血、血腫/動脈穿刺、周辺組織へ液漏れの恐れ、投与者への空気塞栓症や針刺し。

点滴で不適切な量の電解質を投与すると、心臓、筋肉、神経系への深刻な影響を与えかねず、死に至る場合もあります。

点滴は経口補水よりもパフォーマンスに良いか?

パフォーマンス向上、水分補給、脱水症予防、筋けいれん防止を目的とした試合前の点滴投与をサポートする説得力のある調査結果は存在しません。

最近の研究は、経口補水が可能な競技者が点滴で水分補給をすることを支持していません。

米国スポーツ医学会(ACSM: American College of Sports Medicine)のガイドラインは、「経口での水分および電解質の摂取に対して点滴の優位性はない」と明示しています。

検体採取の前の点滴は複数の希釈試料を生成する可能性が高く、ドーピング検査の処理を遅らせます。

できるだけ短時間で水分補給をする方法は?

短時間での補水を望む場合、落とした体重1キロ(2.2ポンド)に対して1.5リットル(50オンス)を摂取してください。

大半の人間は、スポーツドリンクや水などの通常の飲み物や食べ物を飲食することで、正常な補水ができます。

グリセロールは禁止物質のため、グリセロール誘発の水分過剰または水分補給は許可されていません。

米国スポーツ医学会や全米アスレティックトレーナーズ協会(NATA: National Athletics Trainers’ Association)などの様々な競技機関はアスリートに正しい補液方法を伝えるための情報資源を有しています。

TUEが不要のケースは?

入院中で治療のために点滴が必要な急性疾患、外科手術、臨床試験です。例:循環障害の兆候があるひどい脱水状態、手術中点滴ラインが必要な場合、急性感染症の抗生物質治療の際の点滴ラインなど。

医用画像など、病状診断のための臨床試験では、許可された薬の点滴投与が必要な場合があります。

緊 急事態においては、専門のパラメディカルスタッフまたは医師が点滴を投与することができます。ただし、緊急のTUEの後は出来る限り速やかに申請をする必 要があります。緊急事態の例は、無意識または半無意識のアスリート、経口輸液ができないアスリート、急性損傷の治療などです。

以下のケースは入院にはあたらないため事前にTUEの許可が必要です:往診、応急手当、時間外診療での点滴、ブティック医療による点滴や水分補給、診療所での点滴。