ホルヘ・マスヴィダル:引退について

複雑な感情だ。今でもMMAを愛しているし、まだ十分に体も動く。パンチのスピードはまだ衰えていない。でも他は今までのようにはできない。脳と体の連動とか。昔はパンチがきても頭で考えることはなかったけど、今は考えているうちに「しまったくらっちまった」って感じだ。パンチは見えているし、疲れているわけでもないけど、動きが遅くなっている。この状態で続ける意味があるのかって思う。これまでずっと、俺は攻撃の防御がすごくうまかったけど、それが少しづつ、少しづつ衰えているのを感じていたよ。ガキのころから打撃を食らったり、うまくかわしたり、ずっとそれをやってきた。たとえば、ローラーコースターに乗るのが大好きなのに、いつの日か乗れなくなるような。俺は好きな事をやってきたよ。

MMAの練習は続ける。エネルギーを解放することが必要だと思っているから。でも、ガキの頃からやってきたように高いレベルで試合をできるかというと、そこには俺の居場所はない。UFCの選手で今でも倒せる相手はいるけど、でも俺はただ金を稼ぐために試合をすることはもうしない。世界最強の選手と戦うためにここにいるのに、今俺はそのレベルじゃないと感じてしまっている。フットワークのスピードが落ちた。だから、もうバトンを渡す時だ。キンボ・スライスが俺に格闘技の場を与えてくれたように。スコット・コーカーはストライクフォースでチャンスをくれた。日本でも戦って、最終的にUFCにきた。デイナ・ホワイトにも感謝している。プロモーターとして今度は俺が戦いの場を提供する。それで彼らがでかくなって自分でプロモーターをやってもいい。そうやって永遠にまわっていく。試合はもうしないけど、俺のファイティングスピリットは消えることは無い。

スピードが落ちたことを受け入れるのは辛い。今までは自然にできていたんだ。パンチもテイクダウンも自然にさばけていた。でももう俺も38だ。しょうがないよ。36とか37がピークだと思っている。そこから反射神経は落ちていく。

勝って引退をしたかったけど、クソっ。厳しい世界だ。それがファイトゲームだ。今でも大好きだ。受け入れているよ。それがファイトゲームだから。そういうことを俺はやってきたんだ。やるかやられるか。俺にはそういうのが性が合っていた。これからは次のスターを生み出すつもりだ。プロモーターっていうローラーコースターに乗ることを楽しみにしているよ。

今回は、ほぼ怪我もなくキャンプができた。これまでのキャンプで一番調子が良かったと言ってもいい。だから、トレーニングに関しては、何も言い訳をすることがない。脚が痛くていつもの走り込みが出来ない、とかそういうことは何もなかったよ。完璧なキャンプだったんだ。だから、何も言い訳はない。

ギルバートにダメージを与えることができた時に、もっと色々なことができたと思う。彼をとらえて、そこから畳み込んでバン、バン、バンって。ギアのシフトを上げようとしたけど、そのギアはそこにはなかったんだ。

勝ったとしても辞めるつもりだったよ。俺のベストの状態ではないからってね。20年もやってきて、負け惜しみを言っているように聞こえるだろ。あの3発のパンチは昔だったら見えていたし食らわなかった。でも、今は考えてしまう。しかも撃ち返そうとした時には、標的はもうそこにいない。昔は静止画みたいに見えていたのに。

2、3年後にとんでもなく面白いオファーがあったらまた戦う可能性はなくはないけど、UFCの許可を得ないといけない。まだUFCとの契約は続いている。多くの人間は代理人を通してUFCと契約をしているけど、ここ4年俺はいつでもハンターとデイナと直接話をしている。対面でやってきた。電話でもなく対面でやってきた。

トレーニングはできても、今までと同じ自分ではない。そんな状態をさらす意味はない。20年間大好きな事を楽しんだよ。33とか34の時のスピードがずっとあれば続けるけど、もうそれはない。そんなことがあれば戻って来るぜ、なんてね。

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中